13年6月2日
題名の長~い名前の小説は何だ? 初版13年4月15日、初版。 発売7日目で百万部を売りつくしたという・・・さすがギネスブックもの・・・・ ノーベル賞候補作家だけに熱烈な春樹ファンがいるのには驚く。 昨年の夏ストックホルムを訪れた時はヤマナカではなくハルキの事が頭をかすめた。 いまごろ論評を書くのは陳腐かもしれない。 順番で云えば、二百万番目ほどの読者にでもなるだろうか? こちらは春樹ストではないが、負けじとドンファン! 発売日の数日前にリクエスト! 初版本なのに図書館の受け入れ事務処理日はなんと5月17日。 先約があったのか・・・待つこと久し、やっとゲット!一気に読んですぐ返した。 4年前の作品、1Q84についてはノーベル賞候補作品と云うことで吾輩も評論した。 まあハイカラでカラフルである。 主人公以外の出てくるメンバーはすべて名前に色を持つ。 アカ、アオ、シロ、クロ!(赤松、青野、白根、黒埜) 主人公は36歳で独身、自称、色彩・個性に欠ける空っぽの人間。鉄道員。駅を作る人・・・でつくるという名前。 名古屋の高校での同級生、男女二人ずつ。クラブ活動(子供たちを育てる)を通じての親しい間柄。彼だけが東京の大学に行くが、20歳を前にして一方的に絶交を宣言され、「5か月ほど死ぬことだけを考えて生きてきた」ほどのショックを受ける。 16年間、疑問を持ちつつ、一度も逢うこともなく過ごす。 2歳上の結婚を前提に親交のある女性から「今こそ4人の人たちから追放された真相」を突き止める必要がある・・・・と説得され、4人の友人を尋ねるつまり題名の巡礼の旅が始まる。結構性的な表現が彩る。 16年間に起こった友人たちの真相がドラマチックに解明されていく。この謎解きへの旅が巡礼の旅である。 フランツ・リスト。「ル・マル・デユ・ペイ」巡礼の旅の音楽が随所で流れる。 春樹ストにはたまらない数々の高級車、着信音などだちりばめれれている。 最後の巡礼は、この人らしく、フィンランド・ヘルシンキに嫁いだ辺地に、予約もなく尋ねる。 多分読まれることはないだろうあなたの為にチョットダケ原文の味を! ヘルシンキの片田舎を訪ねたときのこと・・・・。 ヘルシンキよりも空気は一段と清浄に感じられた。作りたての空気のようだ。暖かな風が白樺の葉を揺らせボートが突堤にあたるかたかたという軽い音が聞こえた。どこかで鳥が啼いた。よく通る簡潔な声だった。 ここでの「かたかた」という擬音が以後7回も繰り返される。 魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人と人の調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷の部分によって深く結ぶついているのだ。 あとには白樺の木立を抜ける嵐の音だけが残った。 End 蛇足、 まだうら若き頃、片思い、初恋、ラブレター、熱烈な印象を与え、通り過ぎた女性の数人。 つくる同様、いずこにお住まいかも知らない。 半世紀を過ぎた今、この本を読んで、巡礼とは言えないが、ちょっと尋ね手みたい気持ちもある。
by nandemo29
| 2013-06-11 10:19
| 読書・雑学
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